2010年11月11日木曜日

先祖 (世代間伝播)

暫くすると彼女は
「分かりました」
と言い、私に目を開けさせ、それから話を始めました。 その話は私にとって、にわかには信じ難いものでした。
「あなたは今、5代前の先祖、あなたのお祖母さんのお祖母さんに取り憑かれていまする。 その方は非常に苦しんで亡くなりました。 恐らく婦人科系の病気だと思います。 昔の掛軸に描いてあるような白装束で足が消えていて、ボサボサの長い髪に青ざめて「恨めしい」顔をした恐ろしい姿が見えたとき、私も子宮の辺りがすごく痛くなりましたから。 その苦しさを訴えたくてその方は自分の娘に憑いたそうです。 その娘は若くして亡くなってしまいました。 その娘の子があなたのお祖母さんです。 自分の娘が早くに亡くなったので、あなたの先祖は次にお祖母さんに憑きました。 苦痛を訴えたかったの誰にも理解してもらえず、代を追うごとにその苦しみは増してゆき、「怨念」へと変化してしいました。 お祖母さんだってそんな事情は分かるはずがありませんからかなり苦しんだのですよ。 そしてご先祖様はお祖母さんが生きている間にお母さんに取り憑きました。 あなたとあなたのお母さんの仲が悪くなったのはそれからです。 そして本来であればこの問題は、お母さんから妹さんへと受け継がれるはずだったのですが、もしそうなると「女性の怨念」が5代に渡って続いてしまい、とても解決のできない根の深いものになってしまいます。 この因縁の鎖を断ち切るのは女性には無理なのは分かりますよね。 ここでこの因縁を断ち切ることがあなたの今世の使命なのです。 だからあなたが、妹さんの代わりにお母さんの怨念を受けることになったのです。 あなたは一族にとっては「救世主」なんですよ。 名誉な事だと思って下さい。 そうだとは思いませんか、誰でもできる事ではないのですよ。」
その言葉に私は、「こんな苦しい思いをする名誉なんて欲しくない、ただ普通に暮らしたいだけなのに。」そんな思いしか湧いてきませんでした。

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