S.S.と親しくなったきっかけは生徒会活動でした。 クラス代表として話し合ったり、放課後に学校行事の準備をする際、一緒にいる時間が多く、S.S.と私は話が合ったのでいつも一緒にしゃべっていました。 私はS.S.の笑顔が好きでした。 本当に楽しそうに、心の底から笑っている彼女の顔を見ることができれば、他には何も要らないといつも思っていました。 彼女の方も、私との会話は楽しくて飽きないと言って、暇があれば話しかけてきました。 後にも先にも、私の事をこんな風に思って、自分から話しかけてくる女性はこの子だけでした。 彼女の笑顔が見たくて、彼女が喜びそうな話題をいつも考えていましたし、話題として使えそうなジャンルの本を選んで読みました。
中学校時代には気が付きませんでしたが、ただ話が面白いから話をしたがっていただけではなかったようです。 私もよく理解できないのですが、私はたまに「深く考え込まされる」事を話すのだそうです。 恐らく彼女の「琴線に触れる」ような言葉を発する回数が多いのだと思います。 S.S.が水商売を始めて会う機会が減っても、定期的に連絡を取っていたのは、どうもそんな会話をしたかったみたいです。 そうは言っても、私の方は平々凡々で変化のない高校生活を送っていましたから、目新しい話題などは殆どありませんでした。 その逆にS.S.の方は水商売なのですから、理不尽な話、馬鹿馬鹿しい話、笑わされる話、腹の立つ話、身につまされる話、泣かされる話と話題に事欠きませんでしたから、私はどうしても「聞き役」に回らなくてはなりませんでした。 そして、そんな世界で毎日働くS.S.に「今の仕事を辞めて欲しい。」と常に思っていましたが、彼女が自分で選んだ道ですし、私の言葉で辞めるくらいなら、彼女自身が考えて、とっくに辞めています。 会う度に、何も出来ない自分の不甲斐なさを責めて落ち込んでいました。
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