2011年4月5日火曜日

悪者 (トラウマ)

「離婚するしないは夫婦の問題だから、2人で話し合えばいいだろ! 下らない事ばかり喚き散らしている奴が側にいれば、誰だって嫌になるだろう。 親父だから我慢しているんだろ! 他の人間じゃ、3日と一緒に暮らせないよ。 そんな事をぐずぐず考えるより、離婚したらちゃんと1人で生活出来るのかどうかを考えた方がいいんじゃない? 離婚するって一方的に騒いでいるけれど、騒いでいる人間に『生活能力』が充分にないなら、騒いでいる人間が一番自分をを分かっていないはずだろ! 少し自分を省みる必要があるって事じゃないの! 人にとやかく言う前に、もっと自分の事をきちんと見詰めてみろよ!」
と私は取り合いませんでした。 精神的に追い詰められたのでしょうか、この後暫く、母は酷く落ち込みましたが、その後、以前にも増して強く干渉するようになりました。 そして「落ち込み」と「異常な干渉」を交互に繰り返すようになってきました。 場合によっては突然、
「こんなに苦しめるのが楽しいの? 憎いからなの? お母さんなんか死んじゃえばいいんでしょ! そう思っているんでしょう!」
と大声で泣き叫び出す事もありました。

そんな母に対して初めの頃はただ「腹が立つ」だけでしたが、理不尽な事を怒鳴り散らすとはいえ、余りにも激しく母を責めた後は私も「気が滅入る」ようになりました。 母が側にいると、精神的にコントロールが利かなくなってきたのです。 そしていつしか、母がヒステリーを起こすと、頭の中が激しく混乱するようになってきました。 それはまるで、頭蓋骨を開き、脳の中に棒を突っ込んで掻き回されているのかと思うほどまともな思考ができない状態です。 私も取り乱し、大声で母を罵るようになりました。 そんな私に向かって「気が触れている」などと言う母に激しい怒りを覚えました。
周りの目には私の事は「母親を怒鳴りつけている」「親不孝者」「自分勝手」としか映っていないはずです。 家の中の雰囲気も悪くなるし、仕事で疲れてゆっくりしたい時に気が触れたように騒ぎまくる母は、私にとってただの「精神異常者」であり、「障害物」としか感じられなくなりました。 正直「さっさと死んでくれないかな」と何度も思いました。

2008年末、8年ぶりに帰国した際、父から聞いた話ですが、母は友人との付き合いでも常に「悪者」を作っるのだそうです。 家に帰ってきては「誰が何をした」「彼が何を言った」と愚痴をこぼし、父に同意を求めてくるそうです。
「人の事を言う前に、自分に悪い所がなかったか考えた事があるか? 人が何かを言うにはそれなりの理由があるはずだろ、先ずはそれをよく考えてみろ! それが出来ないなら、友達づきあいを辞めればいいだろう!」
自分の言う事に同意できない者がいると、今度はその者を「悪者」に仕立て上げて責め始める母を相手にするのが馬鹿らしくなり、父は次第に母に対して何も言わなくなったそうです。 相手をしていると疲れて嫌になると言ってました。

常に「悪者」を作り、その悪者を非難する事で自分のアイデンティティーを保とうとする事。 自分が人に支配されていたから成長すると今度は逆に支配しようとして、理由なき理由を振り回して人に干渉する精神構造は、「世代間伝播」「世代間連鎖」の問題を抱えている人にはよくある事だそうです。 そして、私が最も忌み嫌ったこの問題を自分の内面に抱えている事に気付くのは、ずっと後の事です。

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