2010年12月19日日曜日

アドバイスに従って (トラウマ)

非常に幅広い分野に対する深い知識と、それらを実際の生活に生かして行く応用力。 問題に対する分析・洞察力と強い信念。 どれ1つとってもこれまで会った誰よりも優れているK.A.先生に惹かれてゆき、毎月行われる研究会は全てテープに取って何度も聞き返しました。 K.A.先生の語る内容の一つ一つが私にとって新鮮で魅力に溢れていました。
初めて受けた1ヶ月のトレーニングが終了した日、K.A.先生は家業を継ぐように勧めて下さいました。 私には将来性のない業種に思えたのですが、将来性がないと皆が思い込み、誰も継ぐ者がいなくなった時、その大切さが再認識される。時代は常に変わっているのに、百年一日昔のまま同じ事を繰り返していては、時代に取り残されるのは当たり前で、時代の変化を読み取る感覚、それに対応する行動力、そして他が真似のできない技術を持てば、どんな時代でも生き残って行ける。 先ずは父の元で仕事を覚え、きちんと技術を身につけるようにとアドバイスされたのです。
K.A.先生のアドバイスは、「コーチング」や「カウンセリング」のように「気付き」を促すような事はしませんでした。 勿論相手を見ながらですが、「取り敢えず言われた通りにやって見ろ。 今分からなくても、やっていればそのうち分かる」という強い態度のものでした。 こう言われるのは若い者、人生経験の少ない者が殆どでした。 早い人なら数ヶ月後に、私のように仕事に対する「基礎」がない者は数年かけないと結果が出ない事もあります。 そして実際に、真面目に「跡を継ごう」と思い、真剣に仕事に取り組むと、この仕事はとても難しいものでした。
「お前は親父の仕事を馬鹿にしていただろう。 その馬鹿にしていた仕事もろくにできない事が分かっただけ少しはましになったんだ。 これから先、どれだけ技術を覚えるかが最初の課題だぞ。」
と、トレーニングが終了して1~2ヶ月後に頂いたアドバイスに従いました。 建築業全体に言える事ですが、材料・道具・工法は進歩していますが、その分個々の処理に対する技術は退化しています。 既製品を購入して取り付けた方が安く早く見栄えがよいからと、わざわざ手加工など誰もしなくなったのに、私は20年以上前には当たり前にあった技術を一つ一つ身につけてゆきました。 「これからの時代は前に進む事が大事で、事後処理に過ぎない法律を学ぶ時間があるなら、自分の仕事に関係のある分野をもっと勉強した方がよい。 職人に必要なのはカンやセンスで、観念じゃない。」と言われたので 2年間学んだ法学部通信課程も辞めました。 頑固なほど世間の流れに逆らって仕事を覚えていきましたが、端から見れば「狂信」に近い状態だったのかも知れません。

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