2011年2月11日金曜日

夢中 (トラウマ)

インポテンツの悩みから解放された事に気付いたとは言え、女性に縁がなかった事に変わりはありませんでした。 ですがこの頃、私にとって様々な変化があったからなのか、意識があまり女性に向かなかったようです。 精々S.S.やK.K.さんと連絡を取り合い、たまに会う程度で、私の関心の大部分は仕事に集中していました。 帰宅するなり、意識を失うように寝てしまう事も少なくなり、多少は読書などをする余裕が出てきました。 以前からK.A.先生が推薦してくれた本を買い集め、読み漁りました。 医学、生理学、薬理学、分子生物学、心理学、人類学、社会学、歴史学、と、非常に広範で当時は消化不良気味でしたが、今考えるとどの本も「人間とは何か」の一断面であり、K.A.先生が教えて下さった考え方は、それらを統合したものだったように思います。 又、仕事に多少なりとも関係するだろうと、冶金学、金属加工、伝統工芸などの本を良く読みました。 特に、国宝クラスの「職人」に付いて書いた本や自らが書いた本を好んで読み、その道を究めた人達の、ひたむきで純粋な思いに感動しました。 そして、いつかは自分も、後世に名を残すような仕事が出来るようになりたいという思いで一杯になりました。
又、この頃から私は、K.A.先生の影響で、現代美術に触れるようになりました。古典的なところでは20世紀前半を代表する、パプロ ピカソ、ジョアン ミロ、サルバドール ダリ、当時現役で活躍していた数少ないシュールレアリリストのハンス ベルメールやアンリ ミショー、そして日本の「書」に通じるものを感じさせる ピエール スーラージュ、ピエール タル コア、ハンス アルツング、マザウェル、アルベルト ジャコメッティー、アンフォルメル・アクションペインティング・日本の「具体」等に代表されるノンフィギュラティブとしてジャクソン ポロック、マーク トビー、吉原治良、白髪一雄、今井俊満、堂本尚朗、サム フランシス、ジョルジュ マチュー、ザオ ウーキー、抽象表現主義の アントニ タピエス、フランケン セーラー、マーク ロスコ、モーリス ルイスなど、それ以外にも アドルブ ゴッドリーブ、デュ モンディ、ジョアン アルチガス、ルイス フェイト、エルズワース ケリー、フランク ステラ、草間弥生、篠田桃紅などの作品に直に触れたり、欧米から輸入した画集を見ているうちに、私はどんどん現代美術の虜になり、雨で仕事が休みになったり、好きな画家の作品が出展される美術展や画廊には良く顔を出していました。 これぐらい熱心に女性を口説いていれば、彼女の1人くらいは出来たでしょうけれど、そんな気にもならないぐらい「絵画中毒」になっていたのです。




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