いくら勃起して射精ができるようになったからとは言っても、セックスとは別問題です。 「立てば出せ、出せば入れろの親心」と言った所でしょうか。 ですが、23歳になっても彼女どころか女友達も殆どおらず、「ナンパ」する意気地もない私には、女性とセックスする機会はありませんでした。 友人から彼女とのセックスの話を聞かされる度に、「焦り」にも似た感情が芽生えてきました。 K.K.さんは彼氏に「ぞっこん」ですし、そうかと言って他に女友達もいません。 周りに童貞の友人がいなくなるにつれ、童貞である事に引け目を感じ始めました。 たまたま友人からトルコ風呂の割引券をもらっていたので、思い切って行ってみようかなとも思うのですが、周りの友人達はいつも、
「風俗で『筆降ろし』するなんて、もてない奴だけだ!」
と馬鹿にしていたので、余り気が進みませんでした。 それでも「チェリーボーイ」と嘲笑われるよりはずっとましなはずです。 ちなみに当時は「個室付浴場」の俗称が「トルコ風呂」から「ソープランド」に移行している最中でした。 確か1984年にトルコの留学生が新聞に苦情の投稿をした事がきっかけだったと記憶しています。
私は元々意気地がなくて、本番には弱いタイプです。 いざ行こうとなるとあれこれ考えてなかなか実行に移せませんでした。 週刊誌や風俗情報ばかり読んで知識ばかり増やしても、実際の経験はいつまでもゼロのままでした。 K.K.さん以外の女性をオナペットにしたのでは、マスターベーションしても射精できずに萎えてしまう事も行動を躊躇わせました。 もしトルコ風呂で成功(性交?)できなかったら、私は一生童貞のままになってしまうという不安が常に頭をよぎります。 そして余計な不安を抱えていれば、直ぐに萎えてしまいセンズリすらまともにできないのですから、結果は目に見ています。 何年も金と時間をかけてやっとここまで回復させたのに、失敗して「自信」を失えば、振り出しからやり直しにすらなりかねないと考えると、私はすっかり怖じ気づいてしまい、周りの「武勇伝」を聞かされる度に「行動しなければ何も変わらない」という思いとの葛藤が生じました。
ある日K.K.さんと雑談をしている最中、軽い猥談になった時、「やっぱり男の人は経験があった方がいいわ。 経験のない男性だとちょっとね。」と口にしたその言葉に、「やばい」と思い、決心が付きました。 仕事が休みの日に、当日最初の客になれるように、夕方お店に向かいました。 家は吉原の直ぐそばで、駅や商店街より近くに日本最大のトルコ街があります。 距離的にはすごく身近なのですが、心理的距離が生まれて初めて縮まった瞬間でした。
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