「ご免ね、今度からそうするから。」
と答え、ファミレスを出て、彼女をアパートまで送りました。 帰りの車の中、頭の中は 「嫌われた。」 という思いで一杯になり、その日は帰宅しても眠れませんでした。 目が覚めてもK.O.ちゃんの言葉が頭から離れず、ふと気が付けば落ち込んでいます。 ただ、不幸中の幸い、仕事だけはいつもと同じようにこなせました。 身体で覚えたものですから、多少上の空で仕事をしていても、我に帰った時にはやるべき事は終わっています。 この数年後には、発熱して頭がフラフラした状態で仕事をしなければならない事が何度かありました。 翌朝、体調は回復しても、前日何をしたのか殆ど覚えていないので、屋根に登って仕事を確認すると、全てきちんと終わっているのです。 多分、この頃既に、そんなレベルにはなっていたのに、まだ自分で気付いていなかっただけなのだと思います。 ただ、そんな状態で仕事をしていると、仕事の終了と共に身体も動かなくなってしまいます。 JA研究所へトレーニングに行っても、身体はぐったりしているし、頭は上の空の「廃人」状態でした。
「どうしたの?」
とトレーナーに聞かれても、
「疲れた。」
としか答えられませんでした。 身体の疲れなら休めば回復しますから、仕事がきつくて疲れたのではありません。 「生きることに疲れた」のです。 全てが灰色に見え、何もしたくないのです。 でも、いくら横になっても眠れません。
そんな状態が1週間以上続きました。 ある日トレーナーが、
「そう言えば、K.O.ちゃんと連絡取ってる?」
と尋ねました。
「もう、来ないでくれって・・・」
「え、いつ?」
「先々週の日曜日。」
「じゃあ、先週ずっと元気がなかったの、そのせいだったの?」
「いえ、そうじゃなくて体調が良くないんです。」
そのせいで気が滅入っているのは分かっていましたが、何故かそれを認めたくありませんでした。 そして、何もしたくないのでそのまま横になったままボーッとしていました。
それからどれ位経ったでしょうか? 1〜2週間程度だったと記憶していますが、この頃の記憶はとても曖昧です。 突然K.A.先生が、
「おい、お前、いきなりK.O.ちゃんのアパートに押しかけて行ったんだってな! そんなことすれば、『来ないで』って言われるのは当たり前だろう! 本当にお前って奴は、女性の事が何にも分かっていないんだな! どうやって住所調べたんだ?」
「○○先生に頼んで、名簿の住所を教えて貰ったんです。」
「おい、○○! 奴に教えたのか!?」
「はい、手紙出すのかと思ったんです。 だって普通、いきなり女の子のアパートに行ったりしないじゃないですか! 非常識よ!」
「最初、手紙出そうと思ったんですけれど、何を書いていいのか分からないから、逢った方が早いんじゃないかなと思って・・・」
「確かに非常識だ! お前は女の事だと、やることなすこと、みんな滅茶苦茶だな。 少し、自分の行動を振り返る必要があるな。 まあ、それだけ夢中なんだろう。 何とかしてやるから、少しは元気出せ! ゴロゴロ横になってばかりいないで、身体を動かせ。 動かしているうちに気持ちも変わってくるから、いいな!」
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