2011年4月1日金曜日

コインランドリーより便利 (タイの日常生活)

 洗濯機を「お茶目な天使」に壊され、失業しそうなのに私の処遇をどうするのか、所属会社と派遣先会社の間で話がなかなかまとまらない為、相変わらず「宙ぶらりん 」の状態が続いています。 最初私は、寮に備え付けてあるコインランドリーの使用を考えました。
 ですが、タイにあるコインランドリーの大部分は日本のように「乾燥機」がありません。 放っておいても乾くものにお金を払おうとする人はやはり「お金持ち」に属すると思います。 そして、お金持ちなら乾燥機を購入していると思います。

 タイは「何故」と思うほど服装で人を判断する部分があります。 洗濯物が乾いてそのまま取り込んだ物を着ては「駄目」らしいのです。
 身だしなみに無頓着な私ですが、あまりにも周りから言われたので、最低限アイロンがかけてある物を着るようにだけはしていますが、私はアイロンがけがで きません。 どうしても綿生地だと左右が非対称になってしまいますし、ちょっと油断すると「シワ」の上にアイロンがけしてしまい、逆に「シワ」が目立ってしまうので、 「やらない方がまし」なのです。

 もっと困った事に、興味がない事には全く集中力のない私は、アイロンをかけたままテレビに夢中になったり電話が来ると話し込んだりして、服を焦がしてしまいますし、下手をすると自分がアイロンをかけている事をすっかり忘れて外出しかねません。
 日本では煮物を作っていたことを忘れて知人の家に遊びに行き、帰宅したらアパートの中は煙まみれで、換気扇から焦げ臭い臭いと白い煙が吹き出しており、近所の人や警察・消防署が駆けつけてちょっとした騒ぎになった事があったくらい「ボーッと」しています。

 ですから、タイに来てからというものいくら金欠でヒーヒー言わなくてはならない状態でも、アイロンがけだけは「外注」していました。 クリーニング屋と言っても街中に在って庶民が利用するものは日本のそれとはちょっと違います。 何処が違うのかはお店を覗けば直ぐに分かります。
 先ず、業務用機器はまずありません。 家庭用の大型洗濯機が数台と家庭用スチームアイロンがメインです。 大きくやっているお店の中には乾燥機を使用している所も有りますが、大抵は表に「干して」います。 朝一番に出せば、翌日の夕方には仕上がっていますが、天候が悪くて干すのが間に合わないと翌々日の仕上がりになってしまいます。 そんな時は乾燥機を持っているお店の方が早そうですが、普段干している分も乾燥機に回るから捌ききれませんので、「大差ありません」。 むしろ、普段懇意にしている小さいお店の方が「急いでいるから」と頼み込めば、「生乾き」の段階でアイロンをかけて「強制的」に乾燥させてくれる分、早い 事すらあります。 簡単に言えば「洗濯代行業」です。

 もうちょっと「高級」になると「ドライクリーニング」をしてくれるクリーニング屋もあります。 私はこのお店を「クリーニング屋」と呼び、「洗濯代行」をしている庶民のお店を「洗濯屋」と呼んで区別しています。
私がタイに来てからもう10年を過ぎましたが、これまでに6回も引っ越しをしています。 そして、引っ越しする度、最初に近所で探し回ったたのは、この「洗濯屋」です。 アイロンがけをしていない物を着ると、何処で何を言われるか分かったものではありません。

 この「洗濯屋」は、意外な所で営業しています。 お店を開いているとは限らず、アパートの一室で、主婦がアルバイト的にやっている所があるのです。 近くて安いのはいいのですが、実家に帰ったり子供が病気にかかると突然「休業」してしまいますし、天候以外にも「夫婦喧嘩」などで仕上がりが予定より大幅 に遅れる事も珍しくありません。

 それでも「商売」としてやっているならまだいいのですが、「アイロンがけ」だけしてくれる所を探していると、
 「私がやってあげようか?」
 と言ってくれる人に出会う事があります。 どうせ自分の家族の服をアイロンがけするので、ついでにやれば多少はお小遣いになると考えるのでしょう。 ですが、一般家庭だと、毎日「アイロンがけする」とは限りませんから、仕上がりがいつになるか分からないのです。 服は常に多めに持っていないといけません。
 しかもアイロンは電気を大量に消費するので、2~3ヶ月後に「割に合わないから辞めます」と、突然「営業停止」することも珍しくありません。


 私が現在の寮に移った最初の頃、市場の近くまで洗濯物を歩いて持って行きましたが、面倒で適いませんでした。 同僚に相談したら、コックの1人が「アイロンがけ」を引き受けてくれました。 所がサブプライムショックがタイにも及び、売上が大幅にダウンしたので、派遣先の会社も大幅な人員削減を行い、その際、「アイロンがけ」を引き受けてくれ たコックもクビになってしまいました。

 再び困って、再度同僚に相談すると、「コック兼美容師」が、「アイロンがけ」を引き受けてくれたのです。 2年ほど「アイロンがけ」を続けてくれましたが、10年間使い続けた洗濯機に、先日「天使がトドメ 」を刺してくれました。 「私の処遇がいつまでもはっきりしない」ので、新しい洗濯機を「買うに買えません」。 この時点で「アイロン屋」が「洗濯屋」に昇格しました。

 ちなみに洗濯機を壊した「天使 」を紹介してくれたのはこの「コック兼美容師兼アイロン屋」でした。 「アイロンがけ」だけなら1着10バーツ(約27円)、「洗濯&アイロン」だと20バーツ(約55円)なので、私からの売上が「2倍」になった訳ですから、彼女にとってもありがたい「天使」な訳です。

 コインランドリーは「洗濯・乾燥」しかできませんが、「洗濯屋」は「洗濯・乾燥」に加えて「アイロンがけ」までしてくれます。 ただ、仕上がりは「並」です。 自分達の服の洗濯と全く同じ扱いをしますから仕方ありません。 アパートや寮の一室でひっそりとお小遣い稼ぎに営業している「洗濯屋」は、自分達の服と一緒に洗濯しているような気がします。
 手際の悪いお店に出すと、たまに他の人の服が紛れ込んでくる事があります。

 20年近く前、「ゲストハウス」に宿泊した際に愛用のセーターをクリーニングに出した事がありました。 部分的に「皮」を使っているので、当然「ドライクリーニング」をするものとばかり思っていましたが、しっかり「水洗い」してくれたので、柔らかかった皮が ごわごわになってしまった事があります。 この頃、「洗濯機」は2槽式が中心で、しかも「洗濯機は綺麗にならない」と言って、1度洗濯機で「下洗い」したものを再度「手洗い」している人がたくさん いました。 全自動洗濯機が普及し、洗剤も「全自動洗濯機用」が出てきた今、こんな事をする人もいなくなってきたみたいです

 また、洗濯に出す際はハンガーを付けて出さないと、「中古針金ハンガー」を付けて返してくれますが、「ハンガー代」を請求するお店が多いので注意が必要です。
 コインランドリーを利用するより多少割高ですが、私にとって「洗濯屋」はとても重宝な存在です。


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