2011年4月15日金曜日

産業廃棄物 (タイの日常生活)

 10数年以上前の事だそうです。

 10年以上倉庫に保管したままになっていたドラム缶の腐食した箇所から液体が漏れて異臭を放っていると通報がありました。 警察の特別班が対応しましたが、1日目は一体何の薬品だか分からず、対応のしようが全くなかったそうです。 2日目、対応して者の身体がケロイド状に爛れ始めたので、慌てて防護服を用意して処理に当たったそうですが、その処理に当たった5〜6名は全員、1年以内 に亡くなったそうです。

 私の知人がその内の1人と親しく、何処へ遊びに行くにも常に一緒の仲だったので、亡くなる前にその事件の話をしてくれたそうです。

 シンガポールの産業廃棄物処理会社がヨーロッパのある国から処理を依頼された産業廃棄物はドラム缶に詰めて、タイへ送られてきたそうです。 どうも、処理をするにはかなりの費用がかかる厄介な代物なので、いくつかの会社を経由して、倉庫代の安いタイに運ばれ、そのまま放置されていたのだそうで す。

 処理方法が確立されていなかったり、処理に巨額の費用がかかる産業廃棄物は、海洋へ不法投棄されたり、第三国へ運ばれたりしてケースも多々有り、規制の網目が大きいタイは、過去に随分こういった物を引き受けていたようです。

 多くの犠牲者を出したこの事件は箝口令がしかれ、闇に葬り去られたので詳細は分からず仕舞いだそうです。 それは、最初から国家間での合意があったから表沙汰にならずに処理されたのではないかと思われる事件です。
そして、はっきり言える事は、先進国が出した産業廃棄物を「処理」させるという形を取った第三国への「投棄」が行われているという事です。

 様々な利権や思惑が絡んだ「使用済み核燃料」も処理方法が確立されていない産業廃棄物の一つで、原子力発電は将来への希望的観測を根拠に見切り発車した 未確立の技術です。 JOC東海臨界事故や今回の福島原発事故を始めとする原発でに放射性物質の扱いの杜撰さを見ると、海外で行われている「使用済み核燃料再処理」も、どれ程 の管理がなされているのか、秘密裏に第三国への「処理委託」という名の「投棄」が行われていない事を願って止みません。

 国が闇に葬った事件の様な犠牲者が1人でも減り、無二の親友を失った知人の様な思いをする人が1人でも少なくなって欲しいものです。

 

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