2011年1月6日木曜日

水分 (トラウマ)

仕事は屋根の上の仕事が6~7割でしたから、夏は暑く、冬は寒く、風が吹き付ける、雨が振り付ける、都会の暮らしで忘れ勝ちな「自然」を全身に受けながらの作業でした。 確か家業を継ぐと決めてから2年目の夏だったと思います。 その年の夏は記録的な猛暑だったので激しい夏バテをしてしまい、秋口を過ぎ冬になるまで疲れが取れませんでした。
よく水をたくさん飲んだ方が身体に良いと言いますが、K.A.先生は否定していました。 汗をかいた分の補給は必要かも知れないが、水分を取ればその分胃液が薄くなり、消化吸収力が落ちて食欲がなくなり、さっぱりしたものしか食べられずに水ばかり飲む事の繰り返しから、どんどん体力を落とす事になると、毎年夏になると勧めていた「夏バテ防止法」の第1項として「水分を控える」事を強調していました。 特に細胞が「水太り」のような状態になっていると、「水が水を呼ぶ」ように身体が水分を要求するようになるのだそうです。 この年の私はまさにその状態でした。 そうでなくても「好転反応」で体調が悪いのに、激しい夏バテで食欲が殆どなく、水ばかり飲んでいました。 それでも生肉は食べ続けていましたが、殆ど「口の中に流し込んでいる」ような食べ方でしたから、戻す事も頻繁で、一時は見ただけで吐き気を催しました。
1日毎に日が短くなり、朝、布団から出るのが億劫になって冬の訪れを感じ始める頃にやっと、夏の疲れが取れてきて普通に動けるようになりました。 これまでも自分の身体を作り直す為に生活を送ってきたつもりでしたが、その努力はまだまだ不充分である事を痛感させられる経験でした。
体調が戻ると水分を大幅に控え、生食を心がけ、野菜も多く採るようにしました。 翌年のゴールデンウイークからは休日や休み時間を利用して肌を焼きました。 少しでも身体を暑さに慣らす事が必要だと考えたからです。 最初こそサンオイルを塗ったりしていましたが、慣れてくるとそんな事もしなくなり、「直火焼き」をしていました。 また、3~4日に1回は近所のサウナがある銭湯に行き、汗をかいて身体の水分を絞り出しました。 普通、サウナに入り汗をかいた後は水分を充分に補給しなくてはならないと言われていますが、サウナから出ると翌朝の食事時間まで決して水分を採りませんでした。 喉がひからび、舌が上顎にくっ付くような気がしましたが、夏バテの苦しさと比較すればさほど苦痛には感じませんでした。 梅雨に入るとサウナに通う頻度を2日に1回に上げ、体内の水分をさらに絞りました。 夏に入るとさすがに水分摂取を控える訳にはいきませんでしたが、夕食後は翌日の朝食まで水分摂取を可能な限り我慢していました。 汗が大量に出る日中でも、水は一口ずつを口に含み、水温を体温に近づけてからゆっくり飲み込んでいましたから、コップ一杯の水でも5~10分もかかるゆっくりしたペースでした。 水分はかなり絞ったはずですが体重は前年と変わらなかったのですから、1年間で多少なりとも身体ができてきたのだろうと思いました。

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