2010年12月14日火曜日

屁 (トラウマ)

この「トランス性運動」ができるようになるまでには、ちょっと他では味わえないような様々なトレーニングを受けました。 特に数人で1人の人間を抑え付け、身体全体をヨガのようなポーズに捻ったり伸ばしたり曲げたりする事は多くの人にとってとても苦痛だったようです。 この当時、ヨガをかなり真剣にやっていた私は身体が柔らかく、大して苦痛に感じませんでしたが、たまに気を失う人もいました。 痛がっている人には
「痛かったら身体の力を抜いて息を吐いて下さい。」
と言って手を弛めません。 叫び声を上げても、声を出しているときは息を吐いているのから、
「そうです、それでいいんですよ。」
と意に介しません。 トレーナーでもこれですからK.A.先生はもっと情け容赦ありません。 前屈なら踵を掴むまで、開脚なら胸が床に付くまで絶対に止めません。 床に大の字になり、片方の脚の膝を曲げ、太腿を胸に付けてから内側に捻ります。 胃や肝臓が弱っているとかなり痛いようで、酒が好きな人は皆嫌がっていましたし、抵抗して身体に力を入れてしまいます。
「ほら、抵抗すれば余計に痛いぞ、もっと力を抜いて。」
「いいか、これ以上抵抗すると骨が折れるぞ。 観念しろ。」
そう言われて力を抜いた途端に更に力を入れてもう一段捻るのです。
筋肉に強い緊張があると毛細血管を圧迫してしまい血行が悪くなりますから、細胞にも充分に栄養が行き渡らず、多くの病気の原因になります。 また、病気であれば患部に手を当てると血行が悪くなっているので冷たく感じます。 炎症を起こしていれば不自然な熱を持っています。 感覚訓練が進めばそれらを手を当てずに近づけただけで感じますし、慣れてくると見ただけで何処が悪いのかが分かるようになってきます。 自分の身体の悪い箇所も感じるようになります。 そしてトレーニングが進むと、私の身体はまだ19歳なのにボロボロだということが分かってきました。 最初はトレーナーに指摘されてもさほど気になりませんでしたが、毎日身体中に強い刺激を受け、その後で身体が動かなくなるほど弛緩させられているうちに、身体中が徐々に活性化してきたのかも知れません。 様々な変化が表れ始めました。 最初の変化は「腸」でした。 これまで経験した事などなかった便秘に悩まされました。 普通に食べていても排便できないのです。 ですがお腹を弛めて、腹式呼吸を行っているうちに腸が再び動き出し、普通に排便できるようになったのはいいのですが、今度は異常に臭いおならが出るようになってしまいました。 トレーニングルームはかなり変わった形をしていましたが、50〜60㎡はあったと思います。 それがたった一回の私のおならで、臭いが部屋に充満し、窓を開け放っても5分以上臭いが籠もっていました。 電車に乗って扉の前に立っていた時におならをした事もありました。 周りに顔をしかめた人が拡がってゆき、隣の扉に立っている人まで顔が歪んでいました。 これまで腸が充分に機能しておらず、異常発酵をしていたにも拘わらず排出できないので腸が発生したガスを再吸収していたようです。 そんな異常な状態からやっと働き出した腸が最初にした事は、腸内で異常発酵で発生したガスを排出することだったようです。 1ヶ月のトレーニングが終わる頃には臭いが多少軽くなりましたが、普通の僅かに匂う程度のおならが出るようになるまでには数年かかりました。

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