2010年12月11日土曜日

印象深いトレーニング (トラウマ)

ちょっと変わった所では「無刀取り」を教えて貰いました。 最初は「刃物」に対する恐怖心を減らす為に刃物の性質を学びます。 刃物は押し付けただけでは肉を切る事はできず、引くなり押したりした際に始めて切れる事を理解する為に、出刃包丁を腕に押し付けるのです。 この時は呼吸法も重要になります。 身体が緊張していると思わぬ怪我をする事があるので、息をゆっくり長く吐きながら行います。 いくら強く押し付けても腕には刃の跡が残るだけで肉は切れていない事を確認後、「無刀取り」をします。 武道の経験がない人がやるのですから、スローモーションのようにゆっくりと行います。 相手が突き出してきた出刃包丁を素手でつかみ取り手首を外に回して、包丁の柄を持っている者の柄と掌の間に隙間を作ります。 この時、親指と人差し指の間から小指の付け根にできる掌の折れ目と包丁の刃をピッタリと合わせてから包丁をしっかりと握ります。 そして相手の掌と柄の間に隙間ができたらそのまま腕を大きく外回ししながら包丁を抜き取るのです。 これがスローモーションではなく実践と同じスピードで行われれば、武道で高段者が行う「無刀取り」になります。 刃物を扱うだけにびくびくしながらやる者が多いのですが、K.A.先生はトレーニングを受ける者に考える暇を与えないテンポと気合いで畳み掛け、気が付いた時には初めて行う者が「さま」になっているくらいきちんとできていました。 「考えたら『意識』がブレーキをかけてしまうから、簡単にできる事さえできないくなってしまう。」 といつも仰っていることを実感できる、印象的な経験でした。
受け始めた頃に印象的だったもう一つのトレーニングに「トランス性運動」がありました。 K.A.先生の本にも解説してありましたが、読んでもイメージが浮かんできませんでした。 「無意識」のレベルが深まると、身体が勝手に動き出すと表現されているのです。 トレーニングで心身の緊張がある程度取れた頃、K.A.先生やトレーナーが「トランス状態」へと誘導すると、横になって休んでいた者がゴロゴロと転がり始めます。 身体を捻ったり回したり跳ねたりと動きは人によって様々です。 身体の悪い箇所を無意識に動かす事によって治そうとする「自動運動」なのだそうです。 未開社会で定期的に行われる祭りなどでは、夢中になって踊っているうちにこの「トランス状態」に入り自然治癒力が発揮されるから病気などが治るのだそうです。 そしてこの「トランス性運動」を意図的に行える者が「シャーマン」と呼ばれた者で、K.A.先生は「シャーマニズム」をかなり研究されてきたようです。 K.A.先生によれば、「シャーマニズム」は「宗教」と同一視される事が多いが全くの別物で、「宗教」は「教団」を形成した組織の維持の為に「人心操作術」を発達させた「人工的」なものであり、「シャーマニズム」とは「黎明期の科学」であり、「人間研究の原点」なのだそうです。 宗教ではこの状態を「憑依」とか「神降ろし」と名付けて各教団が都合のいい解釈を加えているが、人間の身体は「無意識」状態が深まれば「トランス性運動」が起きるメカニズムが最初から備わっているだけで、それに意図的な解釈を加える事自体、宗教の欺瞞性を証明していると宗教に対して批判的でした。

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