「だから、退社したら収入がなくて、借金の返済もできないだろう? まさか借金を踏み倒してお坊さんになるつもりじゃないだろうな?」
「いえ、そんなつもりは全くありません。 返すものはちゃんと返してから出家したいんです。」
「いえ、そんなつもりは全くありません。 返すものはちゃんと返してから出家したいんです。」
「じゃあ、直ぐには出家できないだろう。」
「それはそうなんですけれど・・・ でもお寺じゃなくて「研鑽所」で『お釈迦様の教え』を守りながら生活する事は出来ます。」
私がたまにブログの記事で紹介する「小さなお寺」とは正式にお寺としての登録はされていません。 日本語訳をすれば『仏法研鑽所』といった感じでしょうか。 彼はそこの尼僧(適切な日本語訳が見つからないので「尼僧」という訳語を使用していますが、正確には「尼僧」ではありません。 その辺は又後日、詳しく書いてゆこうと思っています。)と連絡を取り、そこで生活させて貰うようにお願いしておいたようです。
「だから、そこで生活していたら、収入はあるのかい?」
「いえ、ありません。 だから困っているんです。」
「収入がなくて困るなら『働く』しかないだろう? お金は勝手に湧いては来ないんだから。」
「その通りです。
でも、私は死んだも同然なのです。
死人は働けません。」
「でも、死人だったら『去勢』しても何の問題もないんじゃないか?」
「いえ、それは駄目です。 例え死んでも『去勢』だけは嫌です。」
「何で嫌なんだ? 煩悩が1つ消えるから、『仏の道』に集中できるじゃないか。」
「仰る事はもっともです。 私は『仏の道』を歩みます。 でも、「去勢」だけは勘弁して下さい。」
副社長は、彼のような男が、女なしで半年と生きてゆけない事を知っていますし、C.P.君も「本能的」に自分の事を理解しているようです。 ただ、彼女に振られたショックが大きくて、どうしても事実を認められないようです。
「結局、どうしたいんだ? 借金返すなら働く、借金返せないけれどどうしても出家したいなら『去勢』する、どちらか好きな方を選べ。」
「『去勢』だけは嫌です。」
頭が混乱しているのでしょう、いつもは饒舌な C.P.君のボキャブラリーが、今日はとても貧困です。
「じゃあ、働くんだな。 3ヶ月続けてみよう。 それでどうしても辛かったら、又その時話し合おう。 それでいいな。」
「でも、私は働く気力がないんです。」
「別に、お前の仕事は大変じゃないだろう。 何しているんだ?」
「○○と△△と、××です。」
「全部、自分でやる仕事じゃなくて、部下がする仕事だろう。
今までだってどうせ大した仕事はしてなかったじゃないか。」
「ええ、仕事は楽です。 問題はやる気がない事だけです。」
彼は、自分がまずい事を口走っている事に気付いていません。
「暫くすれば、その気力は回復するから、3ヶ月だ、いいな、3ヶ月働いてみろ。」
「はい。」
取り敢えず、彼は納得し、働き続ける事になりました。 確か、木曜日の午後の出来事です。
副社長は笑いながら、
「全く、子供と一緒だよな。 まあ、可愛いって言えば可愛い奴だよ。 今まで振る側だったけど、振られて初めて辛さが分かったみたいだな。 それだけ夢中だったんだろう。 暫く、様子見てやってくれな。 まだ、どうなるか分からないから。」
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