2012年2月22日水曜日

仏像(ソムデットオンパトム)建立 7 (タイ上座仏教)

   2011年4月1日(金)、いつものように終業と同時にバイクタクシーでワゴンバス発着所に向かい、そこから「小さなお寺」へやって来ました。 この写真は翌朝の2日に撮影したものです。 私はこの頃、土日が休みだと、ここへ遊びに来ていました。

右半分の梁を作る準備が進んでいます。
   ここに来たからといって、別に何をする訳ではありません。 何もせずにのんびりしているだけです。 福島第一原発事故に対する激しい「怒り」の持って行き場がないので、腹を立てれば立てるほど、その「怒り」がそのまま私に返ってくるので、私は以前のように精神的に不安定になってしまい、自分でコントロールができなくなってしまいました。
ここだけ見ると、少しは片付けているように見えます。
   ネットにさえ接続しなければ、日本の情報は殆ど入って来ないのですから、せっかく良くなった症状を再び悪化させることもないのは分かっているのですが、日本の状況が気になってひかたがありませんでした。 携帯片手に電波状態のよい場所を探し、ノートパソコンを開いネット接続してしまいます。
   例え低くても山の麓ですから、電波状態はとても不安定で、データ通信はおろか、電話すらよく聞こえなかったり、通話中に切れてしまったりします。 
でも、ばらした型枠は片付けていません。
こちらをきちんと片付ける事の方が大事なんですけれどね。
   この土地を寄進した、元ドリアン果樹園のオーナーの話によると、不思議な事に、ただ1ヶ所、ソムデットオンパトムの建立地点だけは約25年前の「ショルダーホン」の時代から辛うじてですが通話が途切れなかったそうです。 当時、この場所から一番近い電波塔でも電波がまともに届かない位に距離が離れていたそうです。毎朝市が立つ街まで出て行っても、近くには電波塔がないのですから、やはり電話は通じなかったそうです。
放り投げていたら1ヶ所に「集まった」だけです。
   元オーナーは当時、かなり大きな会社のオーナーでもあったので、「別荘地」を購入する絶対条件がショルダーホンで通話が出来る事でした。電話会社で電波塔の位置を確認して、通話できそうな場所の目星を付けて、あちこちの土地を探し回っていたそうです。 ここは電話会社からも「通話の出来ない地域」と教えられていたのですが、知人の紹介でたまたま訪れたそうです。
   所が、何度来てもこの1ヶ所、半径10m程度の狭い場所だけは、安定したショルダーホン通話ができたのだそうです。 もっと電波塔に近くても、電波が不安定な場所ばかりだったので、迷わずこの土地を購入したそうです。
ビティ(建枠)もぶん投げられています。
   土地の寄進を受け、この地に「研鑽所」を作ると決めたとき、メーチーは敷地内をぐるりと廻ったそうです。 そして立ち止まって、「ここに仏像を建立する」と一緒に敷地内を歩いている人達に言ったそうです。 元オーナーは、「何で、ここが電波状態のよい場所だと知っているのだろう?」と益々不思議に感じたそうです。
作業場所の直ぐ隣に釘が刺さったままの材木が散乱しています。
   ですから私は、この仏像建立地点の近くで、作業の邪魔にならない場所をうろうろしてはネットサーフィンをしていたことになります。 「気を落ち着かせる」ためにここに来ているのに、精神的に不安定になることをしていた訳で、この自己矛盾が余計に私を不安定にさせてました。
梁の配筋を土の上に野晒しにして置いたら、錆びてしまいます。
   4月に入ると「日射し」に圧力を感じてしまう程の暑さになります。 いくら土の上とはいえ、雨が降らないので目が回りそうです。 ただ、そよ風も吹くので、その瞬間はホッとさせられます。 そして日が沈むととても過ごしやすくなります。 私は、例え暑くても、ここまで「過ごしやすい」と感じさせる場所を他に知りません。
こちらは正面左側。
1階部、2階部の平面図は楕円形です。
   それにしても、散らかった作業現場です。 コンクリートを流し込むための「型枠」を組み、コンクリートが固まればばらす事の繰り返しになりますが、ばらした木材に打ち込んである「釘」を抜かないでそこいら辺にぶん投げてあるのです。 注意しないと釘を踏み抜く怖れがあります。
R部は思っていたよりはきちんとできているようです。
   釘を踏み抜いてしまうと「破傷風」にかかる可能性がとても高いので、日本ではその場で傷口を金槌などで叩いて血を流し、釘に付いていた泥などを体外に排出してから病院に連れて行きます。 使っている釘は真っ赤に錆びているし、土の上なのですから、「破傷風菌」がうじゃうじゃいそうです。
ビティ(建枠)の部品。
   それでも大きな材木はおおまかですが1ヶ所にまとめてありますし、目に付くのだからまあよしとして、釘が刺さったままの小さな木片はあちこちに散乱しています。 私は万が一の事がないように、目に付いたものは片付けていますが、それを見ているタイ人は「あいつ、何であんなゴミを片付けてるんだ?」と不思議そうな顔をしています。
金属製型枠。 どれも形が思い切り歪んでいます。
こんなものを使って、ちゃんと建築物が造れるのか、逆に興味が湧いてきます。
   「不注意」な上、よく見ると危険があちこちに潜んでいる現場。 その割に事故が発生しませんから、この人達は余程「幸運」なのだと思います。
   タイ人によれば、「功徳」をすればするほど、「幸運」に恵まれるのだそうです。 仏像の建立も「功徳」の一つだそうですから、この現場の職人はかなり徳を積んだ人達という事になります。
   ちなみに、2011年4月7日にアップした「ゴム栽培 1」に使用した写真は、この日撮影したものです。



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