振り返れば、愚かなサイクルに迷い込み、ムキになって出口を探していた訳ですが、もしかしたらわざとこんな迷宮に入り込んでいったのかも知れません。 もし精神的余裕があれば、当時の私の頭の中に浮かんでくるのはS.S.の事に決まっています。 リストカットなどの自傷行為をする者の心理が最近まで分かりませんでしたが、よく考えてみれば私が当時やっていた事も自傷行為と大差なかったのかなと思っています。
そのS.S.は後に、妊娠したので籍を入れました。 結婚式は行わず、お腹が大きくなる頃には互いの連絡もなくなりました。 ですが、私がS.S.の事を諦め切る事ができるまでには2年以上かかりました。 そして、コンプレックスに苛まれた冴えない時間を過ごしながらも、自分なりに試行錯誤を続けていました。 働き始めると学生時代のようにいくらでも時間がある訳ではないので、より効率的な学習法や新しい情報を求めて図書館によく通っていました。
この当時は東欧諸国がスポーツトレーニングでイメージ法を用い、国際舞台で好成績を残していた事から、西欧諸国でもトレーニングに盛んに取り入れられていました。 そしてそれを自己啓発や能力開発に取り入れようという動きが出始めた時期でもありました。 高校在学中に興味を持った高速学習は望むような成果を得られなかったので、私の関心はイメージ法に移ってゆきました。 ある日、近所の図書館で集中力の高め方とイメージ法について詳しく解説してある本を見つけました。 この頃私は独学でイメージ法のトレーニングをしていました。 残像を利用してイメージのコントロール法を身につけようとしていたのですが、形こそ浮かんでも色は上手くコントロールできませんでした。 これまで数名、読んだ本の著者の研究所やセミナーに直接出向いて指導を受けた事もありましたが、どこも要領を得ませんでした。 ですが、JA研究所のK.A.先生の本はこれまでの本とはちょっと違って感じました。
集中力強化法、イメージ法以外にも、呼吸法や「超心理学」と幅広い分野に非常に興味深い解説をしていたので、私は早速連絡して、JA研究所に向かいましたが、トレーニング代が1984年当時で13万円と高額だったので直ぐにはトレーニングを受けられませんでした。 ここのトレーニングやシステムはちょっと変わっていて、表看板は「無意識」の世界でした。 人間は本来、無限とも言える能力を秘めており、車に例えるなら、整備が「運動」、燃料が食事、吸気が「呼吸」、エンジンが「無意識」、アクセル・ハンドル・ブレーキなどの操作が「意識」であり、いかに車を上手に操作するかに「意識」を向けるべきなのに現代人はブレーキを踏んでばかりで動き出そうとしないので、上手な「無意識」の使い方を覚える為のトレーニングをしていました。
学割がないのかと尋ねると、「そんなものはない、覚えたかったら働いて金を貯めろ!」と素っ気ないものでした。 ですが話をして感じた事は、幅広く且つ深い知識と、それを日常生活で実践する応用力、揺るぎない強い自信等、あらゆる面がこれまで会った誰よりも勝っていました。
「K.A.先生から指導を受けてみたい」
そう思った私は出費を抑えてトレーニング代を貯めました。
「K.A.先生から指導を受けてみたい」
そう思った私は出費を抑えてトレーニング代を貯めました。
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