2012年5月30日水曜日

漢方治療 2 (タイの日常生活)

やっと漢方医がやって来て、診察室に入るなり診察開始です。 診察札1番の私が呼ばれ中に入ると医師は椅子に向かって手を伸ばし、無言で腰掛けるように促しました。 椅子にかけるなり今度は左腕を出すように言われ、脈を見始めました。

以前治療を受けた漢方医も同じ事をしたので特に不思議にも感じませんでしたが、腕の良い漢方医は、これだけで患者の全身の状態が手に取るように分かるのだそうです。 医師によっては脈を診るときに指を小刻みに振るわせます。 ある人からは、指先から「気」を放ち、全身を巡って返ってきた「気」の状態から患者の状態を診察するのだと聞いた事があります。



治療期間中の禁忌事項、新しい土瓶の使用前注意、漢方薬の煎じ方。
中国語・英語・タイ語表記してあり、初めて診察に来た人に渡されます。 


 左腕の次は右腕を見ました。 それが終わると紙に診断結果を書き込み始めました。

 「背痛と目眩。 目眩はそれ程重くはないけれど慢性的。 それと脂肪肝の初期。 血中脂肪がかなり高いですね。」
 「背痛と目眩はその通りで、取り敢えずこの2つの症状を改善して欲しいと思います。 でも、脂肪肝や高脂血症の自覚症状は特にありません(ある訳ないけれど・・・)。 それよりも階段を1階分登っただけでも息切れと動悸がします。 子供の頃「リウマチ熱」に罹ったので、弁膜の働きが少し弱いみたいですから心配なのです。」
 「心臓・腎臓、共に問題ありません。 高脂血症で血液循環が悪くなり、心臓に負担がかかりやすくなっているだけです。 取り敢えず1週間分処方しますから様子を見て下さい。」




処方箋。 漢字で書いてあるみたいです。 縦3列の筆跡と
右側の縦印刷の間に書かれている文字が「分量でしょうか?


  患者から症状を聞かずに診断を下すのはちょっと驚きでした。 ここ数年健康診断などの検査をしていないので、本当に高脂血症かどうかは分かりませんが、心臓に問題がないなら一安心です。

「診察料」として200Bを直接医師に支払います。 医師が書いた処方箋を薬剤師(らしき人)に手渡すと、慣れた手付きであっという間に処方が終了します。

後で分かった事ですが、ここは飽くまでも「漢方薬局」であって、中華街に散在する他の薬局と同じです。 違いは「正確な診断」を下せる医師がいて、症状に最適な処方をしてくれるのです。 だから処方箋を持っていれば、別に医師の診察を受けて200Bを支払う必要はないのです。

でも多分、そんな事をするならここには来ないと思います。 もっと安くて薬の種類が豊富な「漢方薬局」は中華街に行けばいくらでもあります。 多少高くても、効果が出るのが他より早く、治療期間が短いので、結果的に安く付く一流の診断が「売り」で、患者もそれが目的できているのですから。


製材所や漬物工場のクズをかき集めて乾燥させたような漢方薬


 その日は一度帰宅して直ぐに出社しなけらばならないので、のんびり薬を煎じてもいられません。 翌朝から煎じ薬を飲み始めるのですが、藁半紙のようなチープなものではなく、しっかりした紙で薬包み、弾力性のない輪ゴムを2本使って止めてあります。 開くと何種類もの訳の分からないものが入っています。 パッと目にはとても「うさん臭い」代物で、「鰯の頭も信心から」という故人
の教えを自分に言い聞かせながら煎じました。

1時間ほど弱火で煎じ、コップ1杯分ほどにまで煮詰まったら飲むのだそうですが、言われたように煮詰まりません。 コップ1杯になるまでに2時間以上かかりました。 念のためにと早起きしたからいいようなものの、いつもの時間に起きていたら出勤時間に間に合わない所でした。 もしこんな事を電磁調理器でやっていたら、いくら設定温度を低くしても、電気代が馬鹿になりません。 これから毎日早起きしなければなりませんし、夕方も何処にも行かずに「ピクニック」のそばで火の番をしなければいけません。

「厄介な事をはじめちゃったな。」

そう考えるとちょっと気が重くなりました。



煎じた薬を飲み終え、夕方もう一度煎じられるのを待つ漢方薬。


  3日ほどそんな事を続けてから、
処方箋の下欄に目を通したら、朝はコップ3杯の水が1杯分になるまで煎じ、夕方はコップ2杯半の水が1杯分になるまで煎じると書いてありました。
  「薬の煎じ方にも書いておけよな。」
  そう思いながら「薬の煎じ方」をもう一度よく読むと、土瓶一杯に水を入れるのではなく、薬が「ひたひたになるまで」水を入れると書いてありました。 私が良く読んでいなかっただけだったのです。 タイ語もまだまだだなと反省させられました。



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