2012年4月10日火曜日

イサーン マンゴスチン ? (タイの日常生活)

 前回の記事「『ケーオ』と『チャオクワイ』 1」、前々回の記事「仏像(ソムデットオンパトム)建立 8」と同日に撮影した写真です。



一見、マンゴスチンにも似ていますが、
大きなマンゴスチンの実よりも更に1回り程大きく、
外の「殻」は軟らかく、色は淡くて赤紫っぽいし、「ヘタ」も地味です。



 T.W. さん 暫くの間実家に帰っていました。 そしてこの日、お母さんと一緒に戻ってきました。 実はT.W. さんはこの「小さなお寺」のメーチーの妹です。 出家したのでお母さんの面倒を見る為に頻繁に実家へ帰る訳にもいかないので、メーチーはよくT.W.さんを実家に帰らせてお母さんの世話をさせています。 T.W.さんも実家の生活が一番気ままで楽なので、喜んで帰っています。




見た目はとても「果物」っぽいので、何となく美味しそうな気がします。


 田舎のたまたま寄った市場で見つけたからと、お土産に買ってきてくれた果物です。
 私が珍しがるのなら分かりますが、この日、「小さなお寺」に来ていた人全員が初めて見る珍しい果物です。 初めて見るのですから、当然誰も名前すら知りません。





果肉の部分はマンゴスチンよりも柔らかくて薄く、透明度も少し高い。


 「イサーン マンゴスチン て言うのよ」
 「何だ、知ってるんだ。 市場の売り子が教えてくれたの?」
 「今、私が付けたのよ。 イサーンで買ってきたけれど、イサーンじゃマンゴスチン採れないから、分かりやすい名前でしょ。」
 T.W. さんに真面目に尋ねた私が馬鹿でした。 興味のない事にはこれっぽっちも関心を示さない、彼女らしい返事です。 





何気なく手で割ったのですが、こうして見ると何となくやばいアングルでした。


 彼女の言う通り、名前なんて分からなくても、味は分かるのですから、早速食べてみます。 見かけと違って、「マンゴスチン」のように酸味はありません。 舌触りは「
シュガーフルーツ」に近いように感じますが、それほど強い甘みはありません。 どちらかと言えば、「ランブータン」「バナナ」「ドラゴンフルーツ」のようなクセのない甘みです。
ドリアンと同じように、種と果肉が綿状の繊維で繫がっています。


 残念な事に少し熟しすぎて、果肉の一部が痛み始めていました。 2日位前が食べ頃だったみたいです。 2個程虫が食っているものがありました。 かなり大きな芋虫でしたから、虫に食われやすいのかも知れません。 あまり見ないという事は実が成る数が少ないとか、生産の手間がかかる割に市場価格が安いとかの理由もあるかも知れません。



よく見ると、殻の左下側が少し痛んでいる。


 食べ終わると誰もこの「イサーン マンゴスチン」の話をしませんでした。 印象の強い味ではないので「記憶に残らない」のです。 それから1年以上経ちましたけれど、この果物の話は誰の口からも出てきません。 もしかすると、私はこの果物を2度と口にする事は出来ないのかも知れません。 タイという国は、そんな儚さが充ち満ちています。